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また吐血で死亡する例もあるので、注意が肝要です。
大量飲酒後の吐血や、空腹時にアスピリンを服用して吐血する例もありますが、これらの場合は吐血量が少ないので、パニックに陥ることもなく、また治りやすいものです。
恐ろしいのは食道静脈瘤の破裂による吐血です。
大量に出血し、次からつぎへと吐血が続いて、医療機国にかつぎ込まれても出血死してしまう例が少なくありません。
理由は吐血の背景に慢性肝炎や肝硬変が存在するからです。
従って、問診で肝硬変とか慢性肝炎が明らかであれば、吐血が一時的に治まっても緊急下船が必要です。
「予防に勝る治療法はない」と言われるように、予防は極めて大切です。
乗船中に吐血すると、他の乗組員に迷惑を掛けるだけでなく、場合によっては失血死を招きかねません。
予防は、乗船前に船員保険の中高年齢者疾病予防検査を受診することに尽きます。
胃潰瘍が発見されれば乗船可能の許可が出るまで治療しましょう。

 

 

 

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